フランス料理のお肉料理のソースのベースになる出汁がフォンドヴォー。イタリア料理にも同様にスーゴ・ディ・カルネ(sugo di carne)があります。
作り方はほぼ同じですので、この出汁さえ使えこなせればフレンチやイタリアンの一皿を作れてしまうんです。
フランス料理の肉料理の出汁は、茶褐色の出汁(fond brun) と白い色の出汁(fond blanc)に大別できますが、フォンドヴォーは前者を代表するものです。
fond de veau(フォン・ド・ヴォー)
fond→出汁 veau→子牛
基本的な作り方は子牛の骨を香ばしく焼いて、同様に炒めた牛スジや香味野菜と共にじっくりと煮込み旨味を最大限に引き出した液体です。ラーメンスープをとるのと同じですね。
白い色の出汁は鶏から取っただし汁です。こちらも使いこなせるとおうちで作るフレンチの一皿に幅が広がります。後日簡単な出汁の取り方を公開します。。。
さて、フォンドヴォーをきちんと作るとなると何日もかかります。とってもそんなことはできませんし、誰もがどデカいズンドーを持っているわけではありませんよね(笑)
そこでスーパーでも売ってるフォンドヴォーの缶詰めを使い、短時間でフォンドヴォーをベースにした肉料理に使えるソースの作り方を紹介します。
缶詰めのフォンドヴォーをプロらしい味にカスタマイズ
フォンドヴォーの缶詰めですが、今回はハインツのフォンドヴォー缶を使用します。¥800-台で売ってます。缶詰めにしてはお高めですね。フォンドヴォー缶ですが、煮込み料理に使うならこの液体のまま使用可能ですが、ソースを作るとなるとそれなりの手間をかけないと味がのりません。今回はあくまでもフォンドヴォーをベースにした肉料理に使えるソースのベースを作っていくことにします。
原材料;ビーフブイヨン・チキンブイヨン・ゼラチン・トマト等の野菜エキス・香辛料(一部に牛肉・鶏肉のゼラチンを含む)。。。
フォンドヴォーをうたっているのですが、中身は全くの別物。前述したように子牛の骨を使うのが基本ですが、子牛の骨は供給量も少なく、貴重な素材であることから家庭用に仕入れるのは困難。また品質のばらつきがありますのでとっても高級な出汁といっても過言ではないかと思います。
また、フォンドヴォーは骨の髄やスジ・脛から出るゼラチン質でまとわれているのが特徴。ゼラチン質が多く素材にまとわりつくような良質のソースが素晴らしいのです。
ようするにこの缶はビーフと野菜エキスをゼラチンでまとめたスープのようなものです。これをもっともらしいソース素材にするためにちょっとした工夫をしていきます。
誰でも簡単にできますので是非参考にしてみてくださいね!
フォンドヴォー缶をカスタマイズする材料
- フォンドヴォー缶 1缶
- 牛スジ
- 玉ねぎ中半分 みじん切り
- あったらキノコ類(マッシュルームの軸とかシイタケの軸など捨てるとこ)
- ブーケガルニ(セロリ、人参、パセリの軸、月桂樹を束ねたもの)
- トマトペースト
牛スジから出るゼラチンと旨味を引き出したい
牛スジはスーパーで安く売っている時があるので
そんな時に購入して冷凍しておくのがおすすめです!
毎回あるとは限らないので。
ちなみに画像のは¥200-台で特価となっていたものです。
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レシピ
牛スジを煮る
深めの鍋に水と牛スジを入れる。火をかけ沸騰したら火を弱めコトコト煮てゆく。
沸騰前後にあくが出るので取り除く
長時間煮出すので煮詰まってしまったらその都度水を足す。
アクはこまめに取り除いた方が仕上がりが良いです。というかアク抜きだけは必然です。
アクを取り除かないと雑味がでますので、ここだけは頑張りましょう!
この作業は暇な時にやっておくと良い!この作業の目的は牛の旨味成分とスジからゼラチン質を引き出すための作業。
肉がほろほろと崩れてしまうくらいにトロ火で煮込むことが肝心です。右がその状態。エキスが液体に溶けている状態。
ここまでやっておいて冷凍保存しておけば、料理を作りたい時に使えます!
香り良く仕上げるためにブーケガルニを束ねる
ブーケガルニとは香りの良い野菜やハーブを束ねて出汁を取る時に使います。
このように野菜とハーブを束ねたものをブーケガルニといいます。束ねておくことで素材がバラバラにならなくて取り出しやすいという利点があります。紐は煮豚用に肉売り場で売っていたりしますのでそれを利用します!
使う素材は、セロリの先っぽのところやイタリアンパセリの軸・ローリエ(月桂樹)のブーケです。人参のくずなんかもいっしょに束ねても構いません。
今回はあくまでも缶詰めをカスタマイズする作業なので、このくらいの量で充分です。あまり野菜類を多くしてしまうとフォンドヴォーとかけ離れた液体になってしまうので。。。
牛スジのスープにブーケガルニを加えて煮、冷蔵庫で冷ますと脂肪分が白く固まって浮いています。上品に仕上げる為、浮いた脂肪分は取り除くとプロっぽっくなります。
コンソメを作る際もこのようにして脂肪分を取り除きます。プロのコンソメのとり方はまた後日。。。
牛スジからとった出汁とフォンドヴォー缶をあわせて旨味を凝縮させる
いよいよフォンドヴォー缶のカスタマイズです。今回は肉料理に使えるベースとなるソースづくりなので、旨味をギュッと凝縮させていきます!
このハインツのフォンドヴォーですが、旨味に何かが足りない。全然足りません。
こんな時の優等生が玉ねぎ・トマト・捨てるようなマッシュルームの軸やシイタケの軸の部位
これらはとっても旨味成分を含有していますので上手く利用しましょう!
では、キュイジーヌcuisine!
玉ねぎのみじん切りを炒めます。中火でじっくり火を入れて玉ねぎの甘みを引き出します。
飴色になるまでじっくり炒めることで甘みが存分に引き出されます。
オニオングラタンスープもこのようにじっくり炒めた玉ねぎから作ります。
けっして焦がさないように!
玉ねぎが飴色になったところに先程とった牛スジのスープを投入します!
予め作っておいた牛スジスープ
そして
ここでフォンドヴォー缶の中身も投入
旨味成分とコクを増すために使う素材
旨味成分とコクを増すために考えたい素材は?
トマトです。
この野菜は本当にすごいんです。栄養価もさることながらこれほど旨味成分が出る野菜はない。。といえます。
イタリア料理といえばトマトですよね。旬にはこのトマトソースだけでパスタが完成しちゃう程。
今回はトマトペースト小さじ1を加えます。
トマトペーストの良いところはマイルドな酸味とこれを加えることによるコク増しと臭み消し効果があります!
煮詰めてゆきます。目安はしっかりと茶褐色になるまでです。
目安はこのくらいの茶褐色
これがフォンドヴォーを使った
肉料理のベースとなるソースです。
こしてゆきます。
これで缶詰めを利用したフォンドヴォーの出来上がりです。
このフォンドヴォーをベースにした基本ソースですが、あくまでも基本(ベース)と思ってください。
これにワインや風味豊かな地酒などを加えてさらに滋味豊かなソースに仕上げていくものです!
グラスド・ビアン
肉料理の基本的ソースになるフォンドヴォーをさらに詰めて旨味を凝縮させておくことで便利になるのがグラスドビアンです。
フォンドボーはそのあと加えるエッセンスでソースを仕上げていくのですが、もっと味を凝縮させてアクセント的に使うならグラスドビアンがおすすめ!
ではその作り方は?
完成させたフォンドヴォーを更に詰めていくだけです。
左がフォンドヴォー 右がグラスドビアン
冷えるとゼラチン質が固まりプリンとした状態になるのですが、右のグラスドビアンはより光沢と硬さが増しています。
出来上がったフォンドヴォーは冷凍しておくと便利
フォンドヴォーが出来上がったら小分けにして冷凍保存しておくと便利です。
ゼラチン質を多く含んでいるのでこんな分に固まります。
グラスドビアンとフォンドヴォーをわけて保存
小分け冷凍しておくことで各お料理ごとに少量づつ使えるのがメリット
フォンドヴォーは万能調味料になります
缶詰めのフォンドヴォーをプロっぽくする方法を紹介してきました。
実はフォンドヴォーは万能に使える調味料なんです。
ステーキのソースに使う他、魚料理にもソースのアクセントとしても使えます。お肉を使ったサラダ料理(オードブル的な)や卵料理にも。
フォンドヴォーを使いこなせるとフレンチ系のお料理の幅が広がりますので是非利用してみてください!!
A la carte
フォアグラのフラン キノコのポタージュと泡
鯛のヴィエノワ―ズ ソース・アルベール
牛フィレ肉のグリエ 柚子胡椒風味
bon-appetit!
gastronomie【食文化】をテーマに誰でも簡単に作れるお料理のレシピやおすすめの産直食材・日本酒・ワインなどを紹介するお役立ちコンテンツです。レシピは洋食を中心に時短で作れる充実した一皿を画像を多く使い紹介!誰でもマネできるように都度更新していますので、おもてなし料理や今日の一皿のヒントになることを願っています。
執筆者プロフィール;フレグランス|フラワーデザイナー・調理師・音楽家
自己流創作術に身を投じています。現役のお花屋さんの傍ら、元シェフの知識と技術を基に食文化(ガストロノミー)は誰かの役に立つようなレシピや情報を公開しています。
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